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サイトで参考にさせてもらった神話関係の史料、文献、論文等。簡単な紹介と、読書感想も兼ねています。随時更新です。 まだ10分の1も終わってません…すみません。
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みんなのアイドル・ディオニュソスが、今度はインドで大暴れ!!

後5世紀の同人誌。――”半人前の神・ディオニュソス。完全な神になるため、ゼウスに科せられた試練、それは・・・「インドを征服してこい!」!??…果たして彼はこのムチャ振りを無事こなせるのか!?ディオニュソスの運命やいかに!?”――

全48巻。どんだけディオニュソス好きなんだよ!!ってくらい長い!!
しかも、8巻までディオニュソス自身は出てこない。

8巻で、ゼウスとペルセポネーの交わりによって彼が生まれた時は、「やっと出てきたぁあああ!!!」と、『ターミネーター』シリーズのシュワちゃん登場シーンばりに感動するぞ!!

ただ、ディオニュソスを持ち上げようとするあまり、他の連中のキャラクターが歪められてる気が…だから「同人誌っぽい」感じがします。

――でも、5世紀かあ!!この時期には、アポロンの崇拝は終わってた。なのに、ディオニュソスはまだ愛されてたんだなあ!!「ディオニシアカ(=ディオニュソスの物語)」!!こんなタイトルの本が出る余地が彼にはあったのか…!ああ!今からでもいい!21世紀でもいい、誰か「アポロニアカ」を書いてくれ・・・!!と思っちゃうくらいにジェラシーだ!この48巻は!!(笑)
前8世紀の『イリアス』にはほとんど名前も出てこなかったのに…立派になったんだなあ、ディオニュソスも…!!

ちなみに、残念ながら日本語には訳されていません。長すぎるから・・・。でも、ディオニュソス好きには絶対最高の一冊!!!!
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ディオニュソスが最も愛した歌。

アポロンが最も愛した詩人がピンダロスなら、ディオニュソスが最も愛した詩人はこの人――バッキュリデス。そして、彼こそがピンダロスの最大のライバル!ピンダロスの得意な歌のジャンルが『パイアーン(アポロン讃歌)』なら、一方のバッキュリデスは『ディデュランボス(酒神讃歌)』!!…まさに、アポロン vs ディオニュソスの構図!!

でも、バッキュリデスの方が、なんとなく女性的?というか女性視点の歌っぽいというか・・・アポロン描写とかすごいニクイとこ突いてくるカンジなんだ!!

『慈しみあふれるまなざしの、デロス生まれのあのお方、
帯低く結ばれるアポローンの君、・・・』


「帯を低く結ぶ」って、なんかローライズのパンツみたいでエロくね!?アポロンのファッションやばくね!?

アポロンの竪琴 VS ディオニュソスの笛。 …勝ったのは?

竪琴に代表される貴族的な音楽と、笛を中心とする庶民の音楽。この対立は神話上、「アポロンの音楽」と「ディオニュソスの音楽」の衝突という構図をとって表象されてきた。
アポロンは笛吹きのマルシュアスを音楽対決で打ち負かした。
しかし一方で、冥王ハーデスの心すら溶かしたオルフェウスの竪琴は、ディオニュソスには全く利かなかった。

そして最終的に、アポロンの音楽は、ディオニュソスの音楽に屈することになる。――この結末は、一体いかなる原因によって導かれたのか?

――おもしろいなあああ!!岡先生ほんとすごい!!確かに、ディオニュソスが、オルフェウスの竪琴をガンガン聞き流してたのに対して、アポロンはマルシュアスに反則で勝ったかんじだったしな…。やっぱりアポロンの音楽の弱点はこの一言に集約されるかもしれない――「音楽は人を楽しませるものだ。だからアポロン、人を沈黙させるあなたの音楽は音楽じゃない。」
ちなみに、この本は論文集なので、この他にもいろんな面白い論文がギッシリ詰まってます!
竪琴を発明したのは、ヘルメスか?アポロンか?

ヘルメスとアポロンは互いに競合する職能を持っている。「牧畜の神」、「音楽の神」。これらの職能は、本来はヘルメスのもので、そこに新米の神であるアポロンが侵入してきた、という構図のはずだが、それが逆であるかのように語られるのは何故か?
そこに垣間見える、「平民的な」ヘルメスと、「貴族的な」アポロンのイメージの対立。

――こんなの面白すぎるわ!!そうか、良く考えたらヘルメスよりもアポロンの方が新米か…!逆のイメージあったわ…アポロンがいつも偉そうだから。確かに、アポロンの存在って貴族趣味ですよね。
ボーイ・ミーツ・ボーイ ~アポロンとヘルメスの出会い~

すさまじく偉そうかつ、ぷりぷり怒るアポロンが、最終的にヘルメスの手のひらの上で転がされるまでを描いた歌。最初はケンカしまくってた二人が、竪琴やら色んなプレゼントを渡し合って、最後に親友になるまでの流れは、まさに「ああー!!青春だなあーー!!」。二人の掛け合いや騙し合いも、イキイキしていて本当に面白い!…

アポロン「おい、揺りかごに寝ている小僧!!私の牛をどこにやったか言え!さもないと今すぐ冥界のタルタロスに投げ込んでやるぞ!!」
ヘルメス「またまた御冗談を。牛なんて僕は知りませんよ。」
アポロンは卑怯者か?

トロイア戦争において、アポロンは霧に乗じてパトロクロスを背後から襲った。この箇所は、物語の前後関係からしても不自然であり、従来から批判が行われてきた。
アポロンはどうしてこんな卑怯なことをしたのか?不自然なこの部分はなぜ挿入されたのか?それを「アキレウスの死におけるアポロンとパリス」、「パトロクロスの死におけるアポロンとヘクトル」という類比の下で論じる。

アポロンって全体的に卑怯者ですよね。でもそんな彼が私は大好きです!
一夫一婦制のギリシャ神話で、どうしてハーデス様は奥さんをたくさん持てるのか?

アッティカ(アテナイがある地方)では、結婚していない女性が死ぬ事をこう表現する――「ハーデスと結婚する」。そして彼女の葬送時には、花嫁衣裳を着せて、婚礼歌が歌われる。
しかし、現実のギリシャ社会や、神話の世界では一夫一婦制が原則。しかも、アッティカではハーデスは崇拝されていない。なぜ「ハーデスと結婚する」なんてフレーズが使われるのか?

この問題を、ハーデスが持つ二面性、つまり「冥界の主」であると同時に、「恵みをもたらす神」であるという点に着目して論じる。一方で、神話上でハーデスとの望まぬ結婚を強いられたペルセポネーを、「未婚のまま死んだ女性」の象徴・暗喩であると捉えている。


――うーん!面白かったけど、私は納得できなかった。「ハーデスと結婚する」っていう表現は、「死と結婚する」みたいな、詩的な比喩表現なんじゃないか?それをハーデスは「一夫多妻」だった、っていうのはなんか違う気がする。ちなみに、結婚していない男性が死ぬ事を「ペルセポネーと結婚する」と言うらしい。――じゃあ一夫多妻制でもないじゃん!!多夫多妻制じゃん!!
下ネタの面白さは万国共通!

ディオニュソスのエンターテイナー魂に脱帽。
アイツ笑いのためならすごいフランクな感じで失禁するぞ!!…そんな彼が冥界に殴りこむ、というお話。ハーデス様やアイアコスたち、冥界の面々も顔をそろえてすごく賑やかな喜劇です。今読んでも十分笑える作品!

アイアコス「私が一番楽しいのは、陰で上司の悪口を言っている時だ。」
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