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サイトで参考にさせてもらった神話関係の史料、文献、論文等。簡単な紹介と、読書感想も兼ねています。随時更新です。 まだ10分の1も終わってません…すみません。
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一夫一婦制のギリシャ神話で、どうしてハーデス様は奥さんをたくさん持てるのか?

アッティカ(アテナイがある地方)では、結婚していない女性が死ぬ事をこう表現する――「ハーデスと結婚する」。そして彼女の葬送時には、花嫁衣裳を着せて、婚礼歌が歌われる。
しかし、現実のギリシャ社会や、神話の世界では一夫一婦制が原則。しかも、アッティカではハーデスは崇拝されていない。なぜ「ハーデスと結婚する」なんてフレーズが使われるのか?

この問題を、ハーデスが持つ二面性、つまり「冥界の主」であると同時に、「恵みをもたらす神」であるという点に着目して論じる。一方で、神話上でハーデスとの望まぬ結婚を強いられたペルセポネーを、「未婚のまま死んだ女性」の象徴・暗喩であると捉えている。


――うーん!面白かったけど、私は納得できなかった。「ハーデスと結婚する」っていう表現は、「死と結婚する」みたいな、詩的な比喩表現なんじゃないか?それをハーデスは「一夫多妻」だった、っていうのはなんか違う気がする。ちなみに、結婚していない男性が死ぬ事を「ペルセポネーと結婚する」と言うらしい。――じゃあ一夫多妻制でもないじゃん!!多夫多妻制じゃん!!
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ハーデス様、どうして浮気したの?

植物(主にハーブ類)関係の神話を神話学的アプローチから解明する本。この中の、ハーデス様の浮気相手・ミントの考察はとても興味深かったです。ミントは催淫剤であり、同時に避妊剤でもある。ミントとペルセポネーの比較。そこから見えてくるミントの神話学的位置・意味とは?
「冥王ハーデスは、かつて太陽神だったのではないか…?」

――ハーデスがペルセポネーをさらった時、それを見てたのは「太陽(ヘリオス)」だけ。ハーデスが地上で唯一所有するタイナロスの野の牛は、「ヘリオス」の所有物でもある。戦車を駆るヘリオスとハーデス。輝く帽子をかぶるハーデスの絵・・・。ハーデスは元来、太陽神ヘリオスと同一の存在だったのでは?

…ものすごく興奮した!!こんなことを考える人がいるんだ・・・!こんなおもしろい論文があったんだ!!ヘリオスはアポロンと類比されることが多いが、ヘリオスとハーデスの類似点の方がよっぽど重要じゃないか?と思った。ヘリオス=ハーデス。確かに!ずっとずっと昔のハーデス様は、たしかに「輝ける君」だったのかもしれない!おもっしろーーい!

「ハーデス様がペルセポネーをさらったのは冬なのか?夏なのか?」

”ペルセポネーが冥界にいる季節が冬であるはずはない。冬はギリシャで最も実り豊かな季節だ。”――やっぱりニルソンはすごい!!↑の他にも、色々な説が展開されていて本当に面白い一冊。
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